ロ短調チラシより 両先生メッセージ全文書き起こし。

管理人です。

ロ短調演奏会の宣伝用チラシに関して、表紙はtwitterアカウントのアイコンにしていたりしますので
表紙にデカデカとそびえるおっきな
皆さんにもお馴染みおなじみになってきているのでは?と思うのですが・・・・。

裏面もスゴいのです。
何がって?礒山先生、雨森先生の熱いメッセージが書かれているのです。
チラシがまだお手元にない方のために、お二人の文章を全文書き起こしで掲載させていただきます。

是非ご一読下さい♪

【監修】礒山 雅

バッハが生涯の最後に完成した、《ロ短調ミサ曲》。この難解で演奏至難な、しかし比類なくすばらしい大作に取り組むにあたり、雨森文也さん率いる合唱団CANTUS ANIMAEは、バッハ研究の最新の成果に拠って立つことを決意されました。以来、1年に及ぶ私とのコラボレーションが開始されたのです。細部にわたるレクチャーと解釈のディスカッションを通じて、私は自分の積み重ねてきた研究のエッセンスを、精一杯提供しました。そしてそれは、熱意あふれる団員との連帯感となって、音楽を動かしていったと感じています。
かくして、ピリオド楽器によるオーケストラと市民合唱団の共演という、先駆的な試みが実現しました。私は国立音楽大学在職時代に、大学の音楽研究所でバッハの演奏研究に取り組んでいましたが、コンサート・マスターの大西律子さんをはじめ、その仲間たちが何人も、オーケストラに参加してくれました。また声楽のソリストも、研究所のメンバーとして、《ロ短調ミサ曲》の演奏研究に携わった方々です。彼らがお客様としてソロ曲を歌うのではなく、コンチェルティストとして、すなわち各パートのリーダーとして、合唱を牽引しながら歌うことにご注目ください。こうした連携を通じてこそ独唱曲と合唱曲の敷居が取り払われ、演奏者全員が一丸となってバッハの音楽と向かい合うことができると、私は考えています。
宗教的な心の大切さと諸宗派の和合を説く《ロ短調ミサ曲》のメッセージは、現代において、ますます輝きを増しています。コンサートを通じてその精神を共有させていただければ、これほど嬉しいことはありません。

【音楽監督】雨森文也

《ロ短調ミサ曲》を演奏することは、CANTUS ANIMAE(以下CA)の長年の夢でした。これまでも、何度かバッハのモテットを取り上げ、通奏低音を付け、バロック時代の音律を用い、少しでもバッハの音楽の本質に近づこうと挑戦してきました。しかし《ロ短調ミサ曲》は、技術的にそれらの作品を凌駕する大曲です。かのメンデルスゾーンですら、合唱パートの難しさに演奏を断念し、それがマタイ受難曲の再演につながったと言われています。
私は、このバッハの最高峰に挑むからには、とことん勉強して真正面から取り組みたい、それにはバッハ研究の大家、礒山雅先生に監修をお願いすることが必須だと考えていました。CAは、過去に2回、礒山先生からお褒めの言葉をいただいたことがあります。最初は、1999年にCAが初めて参加した合唱コンクールでモンテヴェルディの「アリアンナの嘆き」を演奏した時。2回目は、2011年に同コンクールにてハイドンの作品を演奏した時。この2回のかかわりを通して、私は「いつか、この方から学ばせていただきたい」という思いを抱いていました。礒山先生は、その思いを快く受け止めてくださったのです。
最新の研究成果に基づいた計6回、延べ18時間に及ぶ《ロ短調ミサ曲》のレクチャー。毎回開催される懇親会。それらの時間は当初の想像をはるかに超える貴重な時間となりました。知れば知るほど、おののきひれ伏したくなる《ロ短調ミサ曲》の偉大さ。礒山先生の《ロ短調ミサ曲》に対する深く熱い思い。畏怖と感嘆と熱情と幸福感に満ちた時間を共有することで、私たちの《ロ短調ミサ曲》を演奏する夢は、礒山先生の思いにかなう演奏をしようという具体的な目標に変わりました。
オーケストラは、礒山先生からご紹介いただいたヴァイオリンの大西律子先生をはじめ、バッハ演奏の第一人者が揃いました。加えて礒山先生が最も信頼されている若手声楽家をコンチェルティストとして迎えることもできました。
2014年3月29日。どうぞ、大和田さくらホールにお越しください。最新の研究成果と私たちの情熱によるバッハ《ロ短調ミサ曲》を堪能していただければ幸いです。