振り返るシリーズ、Part3となります。
2014年最後のステージ、聖母マリアのカンティクムについて振り返っていただきました!
はじめまして。Sopranoで歌わせて頂いているさとうです。
皆様の素晴らしい文章の後に、私みたいな若輩者が書かせて頂くのは非常に恐縮ですが、私なりに感じた感想を綴らせて頂きます。
2014年、怒涛の演奏会ラッシュを締めくくったのは、『聖母マリアのカンティクム』。
Medio Registroさんと共演させて頂くという大変貴重な機会でした。
大学から合唱を始めたものの、邦人合唱曲を中心に歌ってきた私は、ルネサンス・バロック音楽に触れた経験は全くなく・・・。エレディアという作曲家の珍しさもさることながら、Magnificat、ミーントーン・・・出てくる言葉は聞いたことがないものばかり。宗教曲ときいて、なんだか敷居が高い感じもして不安でいっぱいでした。
今回とりあげた、Magnificatは、マリアがイエスを身ごもったことを神に感謝する歌です。
偶然にも、自身が妊娠中であることから少しだけ親近感を抱きつつ曲に向かい合い始めました。
とはいっても、なじみの薄い宗教曲。最初のうちは5曲の区別もつかないような状態でした。
そんな中、むかえたリコーダーの古橋先生との音合わせ。この日の事は特に強烈に印象に残っています。
同じ旋律を演奏していて、しかも先生は歌詞を奏でることはできないはずなのに、「Anima Mea」という言葉の持つ力すら強烈に伝わる、情熱的な演奏を目の当たりにしました。先生の気迫あふれる演奏に導かれて、一緒に歌わせていただく事で、自分の中でぼんやりとした印象しかなかったこの曲の輪郭が次第にはっきりし始めました。同時に、優雅なメロディの背景に、今までになかった確かな躍動感を感じたのでした。
それからは、毎回の練習がとても楽しみになりました。何度も練習の録音を聞き直しては、いかにこの曲の世界観を体現するかを考えました。
とはいっても、現実には練習での指示を消化するだけでいっぱいいっぱいだったのが正直なところですが・・・
そして、緊張の中迎えたMedio Registroの皆さんとの本番。
様々な古楽器のもつ懐かしい音色に合唱が加わることで、宗教曲であるはずなのに、当時のスペインの土埃が立ちそうな街中の風景や、人々の素朴な中にある熱っぽさなど400年前のスペインの空気感が再現されたような不思議な感覚に襲われました。
この雰囲気に身を委ねて歌うと自然と、身ごもったマリアが感じたであろう高揚感も体全体で感じながら歌にすることが出来ました。
私のお腹の赤ちゃんは古楽器の音色がよほど気に入ったらしく、Medio Registroさんの演奏に大はしゃぎして私を少しだけ疲れさせてくれました。
忙しかった2014年。年が明けて、今年は少しだけゆっくりと曲に向き合うことが出来そうです。
CAは今年も真摯に謙虚に音楽に向きあって参ります。
応援の程よろしくお願い致します。