「アンサンブルの練習は1人ではできません。そのための合宿です」
ルール
・班に分かれて以下の曲を2日で仕上げ、最後に発表すること。
・演奏はすべて指揮なしで行うこと。
・曲順は課題曲を含めて自由とする。課題曲
Les fleurs et les arbres(「Deux choeurs」から/Camille Saint-Saëns 詩曲)
自由曲
・10分程度に収まる時間で選曲すること
・1曲はルネサンス・バロックの作品を含めること
・ア・カペラ作品のみであること
・必ずしも課題曲と関連性はなくてよい
※グループでの事前練習禁止!
※演奏会曲目の練習はしません!
リ`・ヮ・)ファイトだよっ!
こんにちは。団員のHです。
4月1日〜2日にかけて、CANTUS ANIMAE 名物のアンサンブル合宿が4年振りに行われました。
今回はそちらの一部始終をお届けしたいと思います。
会場は、埼玉県は秩父エリアにある合唱団御用達のお宿、「せせらぎの宿 ごかばし」様。
CAとしては初めての利用でしたが、ご存知の方、かつて利用された方、リピーターの方も多いのではないでしょうか。
お昼頃に団員が集合し、いざ、合宿のスタートです!
☆満開の桜がちょうど見頃を迎えていました☆
1日目
雨森先生の、アンサンブル合宿の目的と意義の説明から始まります。
「発声練習や座学の勉強は1人でできますが、唯一アンサンブルの練習は1人ではできません。そのための合宿です」
今ではとても信じられませんが、結成当初のCAは、指揮者なしでアンサンブルすることがほとんどできていなかったこと。
合宿の回数をこなすうち、みるみるアンサンブル能力が身に付いて団の実力が付いてきたこと。
室内合唱の定義とは?
室内合唱と重唱の違いは?
何人だったら室内合唱?
昔のエピソードも交え、指揮なしアンサンブルを学ぶ意義を熱く語られる先生に、団員たちも自然とスイッチが切り替わっていきます。
講義の後に、まずは課題曲となるサン=サーンス「2つの合唱曲」を全員で歌いました。
(課題曲ではない1曲目も合わせて!)
慣れないフランス語に苦戦しつつも、1度通しただけで「室内楽のような調和をもっている」音に秘められた、フランスの美しい自然の香りがほのかに漂いはじめました。
(参考:「無伴奏混声合唱のためのフランス合唱名曲集」(全音楽譜出版社) より)
前提要素を共有した後は、班ごとに分かれてひたすら特訓です。
2〜3時間の班練習+3〜40分の雨森先生レッスン。
これを2日で3セット繰り返し、その後はコンテスト形式で発表しあう形になります。
濃密なスケジュールですが、しかしながら課題曲+ルネサンス+αを実質12時間で仕上げるわけですから、時間はとてもじゃないですが足りません。
各班とも各自の練習部屋に飛び込み、大慌てで譜読みタイム&猛特訓です。
とにかく回数を、と曲に慣れるためにひたすら歌い込んでいけば、時間があっという間に過ぎていきました。
その後に、班として最初の雨森先生レッスンの時間です。
まずは「全力で」全曲を通すところから。
曲作りはあくまで自分たちで、という方針から、この曲たちをなぜ選び、どう歌いたいのかの議論とアドバイスをいただきました。
「この班の課題曲は特に〜〜だね」
自分たちが最後のレッスン順のため、既に各班ごとに色合いやスタートが異なっているらしいお話もいただけました。
束の間のレッスンの後は、お待ちかねの夕飯です。
ちょっと早いのでは?とも当初は思っていましたが、全力疾走の練習の後で、みんな既にお腹ペコペコです。
秩父のお野菜に舌鼓を打った後は、息つく暇もなく2セット目に突入。
先生から先程いただいたアドバイスを参考に、1曲ずつじっくり詰めていきます。
サン=サーンスの作品は、自身の作詞ということも相まって、短い音楽の中に無数のこだわりや工夫が施されています。
言葉や和音の配置もさることながら、フランス語を丁寧に喋るだけでも解像度が増していき、ひとつ歌い慣れるたび、楽譜を解きほぐしていくたび、歌詞の世界観が鮮明になっていきます。
出来始めたところを突き詰め、できていないところを反復し、それでも足りないところは一晩熟成されることを期待して、夜の練習が終わりました。
2日目
春の小川のせせらぎとともに目を覚まし、クタクタの体を引きずりながら、ほっと安らぐ朝食をいただいて練習に備えます。
昨日学んだ要素や決め事を再確認しながら、ゆっくり声を起こしていきます。
一晩熟成された結果、かはわかりませんが、フランス語が流暢になったような気がして、早速練習の成果を肌で感じました。
子音の発語や細かい発音までを確認しつつ、残り時間で取りこぼしていた箇所を細かく歌い込みます。
そんなこんなで自身も不安も相混じり、昼食を挟んだ後に、いよいよ発表会の時間です!
☆昼食のカレー美味しかったです☆
団内発表会(景品もあるよ!)
2日間の練習の成果を、コンテスト形式で発表する発表会の時間になりました。
班ごとに発表して聞き合い、最後には(一応)個人+班ごとに順位付けも行う、緊張感のある形となっています。
じゃんけんで順番を決め、審査用メモ用紙が配布され、緊張感が高まっていきます。
なにせ、限られた時間で詰めきれていない箇所も残る中、団員全員+先生が審査員&ライバルとなるわけですから、ドキドキワクワクです。
☆緊張の一瞬☆
各班の自由曲
チーム山谷
*Considera Israel / Pierre de La Rue ※第一部のみ
Salve Regina / Francis Poulencチーム山田JAPAN
*Madonna, sua mercé, pur una sera / Luca Marenzio
*Scendi dal paradiso Venere / Luca MarenzioThe nature lovers
*Fair Phyllis I saw / John Farmer
Northern Lights / Ola Gjeilo
*The silver Swan / Orlando Gibbonsカロシロ
*Bon jour, mon coeur / Orlandus Lassus
Romance du soir, Op. 118 / Camille Saint-Saëns*ルネサンス該当曲
CAらしい曲も、CAでは珍しい曲も入り混じった、班ごとにユニークで背景の異なる曲たちが並びました!
「同じ団のメンバーなのに、班によって課題曲の味付けがまったく異なりましたね」
各班の演奏後には、先生から講評をいただきました。
先生の講評の通り、同じ先生のアドバイスを受けながら練習していたにもかかわらず、課題曲の演奏は班ごとに大きく異なっていました。
楽譜のディナーミクを重視した音楽、フランス語の発音と音色に特化した演奏、合宿のテーマであるアンサンブルに重きを置いた歌い方。
普段は一緒に歌っている団員同士なのに、一泊二日の間で目指す方向性が異なったところが、とても不思議な感覚でした。
☆愛と気合の入った楽譜☆
☆結果発表☆
「全部の班が素晴らしかったので、私(雨森先生)は全班とも1位です」
CAに入って初めてのアンサンブル合宿。
あっという間に過ぎてしまいましたが、都会の喧騒から離れた自然の中で、無心で音楽作りだけに取り組み続ける時間は、とてつもなく貴重な体験でした。
アンサンブル練習は1人ではできない、という先生の言葉は、社会人になってより痛感いたします。
人の声が近くで聞けるという、小さな幸福を噛み締めつつ、合わせて唱うために必要な技術や表現を磨いていく重要性に改めて気づく機会となりました。
また来年かいずれか、今回参加が叶わなかった団員とも一緒に歌い込める機会にめぐまれることを願いながら、このブログを閉めさせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました!!!
文筆
秩父にiPadを忘れた団員H
(番外編)合宿恒例の懇親会!
CAでは珍しい女声・男声合唱から、オペラの一幕まで披露されました!
☆合宿恒例の新人芸、今回はなんとラジオでお悩み解決!?☆
☆余興を盛り上げた影の主役ことサイリウム☆
(余談ですが、観客にライブ用ペンライトの使用を推奨する合唱祭、というのがあるらしいですね)